綺麗な羽を持つ孔雀のオス

ホント~に不思議なことなんですが、実は自ら「恋愛学者」と自称している人は、世界で1人もいないのです。恋愛に関する書籍は、それこそ山のようにあるのですが、その著者はといえば、たいていが自称「進化心理学者」や「文化人類学者」だったりします。たぶんなんですが、「恋愛学者」と名乗ることが恥ずかしいのではないかなと思います。

「恋愛学者なんだから、さぞかしモテるんでしょ?」「恋愛学者なんだから、女なんてすぐ落とせるんでしょ?」なんて言われるとイヤなので、言いたくても言えないのかなと(笑)。テレビや雑誌でお馴染みの森川友義教授も、本来の肩書は「進化政治学者」であって、本人は「恋愛学者」だなんて一言も言ってません。「恋愛学者一覧」とか検索しても、全然HITしないのは、そのためです。

このページでは、恋愛に関する凄い書籍を書いた人を勝手に「恋愛学者」と決めつけ(笑)、その凄さを紹介していきたいと思います。(ランキング形式ではありません)

【1】森川友義(もりかわとものり)

森川友義先生
(出典:tmorikawa1221.net)
■プロフィール
1955年、群馬県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。ボストン大学大学院政治学研究科で修士号取得。オレゴン大学大学院政治学研究科で博士号取得。現在は、早稲田大学国際教養学部の教授。政治学博士。

■凄いところ
「恋愛学者」と言えば、やはりこの人ではないでしょうか?『なぜ、その人に惹かれてしまうのか?』は2007年に発売された恋愛学の入門書ですが、今でも全ての恋愛ブロガーのバイブルとなっており、これを読まずして恋愛を語ることなかれ!という程の名著です。

日本で唯一、早稲田大学にて行われている恋愛学の講義は大変な人気ぶりで、定員オーバーなため毎年抽選だとか。現在進行形で多数のテレビやメディアにも出演中。「なぜ勉強するのか?モテるためです!」は教科書に載せてもいいほどの名言だと思います。

■お薦め書籍
『一目惚れの科学』
『なぜ、その人に惹かれてしまうのか?』
『恋ゴコロのすべてがわかる 早稲田の恋愛学入門』

【2】藤田徳人(ふじたなるひと)

藤田徳人先生
(出典:ameblo.jp/yumacute)
■プロフィール
1966年、大阪府生まれ。順天堂大学医学部卒。医師。作家。タレント。恋愛科学研究所の初代所長。

■凄いところ
個人的にはやっぱりこの人が一番凄いと思います。まだ恋愛学という言葉はおろか、恋愛系のホルモンの存在すら誰も知らなかった1990年代に、「恋愛科学」という概念を打ち出し、脳内ホルモンの分泌比率(ホルモンカクテル)や脳の配線によって性格や相性が決まるという概念を提唱した人です。

「恋愛均衡説」や「恋愛の市場原理」といった今ではすっかりお馴染みとなった理論を最初に広めたのもこの人。知識や理論もさることながら、その痛快な切り口と筆運びで、この人の本は一度読み出すと最後まで止まらなくなります。間違いなく、日本の恋愛学の第一人者といえると思います。

■お薦め書籍
『毒の恋愛学』
『恋は打算的なほどうまくいく』
『もともと浮気な男 おいしい男を選ぶ女』

【3】姫野友美(ひめのともみ)

姫野友美先生
(出典:himeno-clinic.com)
■プロフィール
1954年、静岡県生まれ。東京医科歯科大学医学部卒。医師。作家。日本薬科大学漢方薬学科教授。ひめのともみクリニック院長。

■凄いところ
子供が3人いるママでありながら、仕事・講義・執筆活動etc…とパワフルにこなすスーパーウーマン。心療内科医としての知識はもちろん、栄養学、脳科学、健康心理学、アンチエイジング医学などにも精通し、その多面的かつ繊細な分析結果は、読むものを唸らせる。

「女は安心して刺激を楽しみたい生き物」「女は満腹時ほど性欲が高くなる」「男は助ける性、女は助けられる性」「男は肉体的関係が壊れるのを恐れ、女は精神的関係が壊れるのを恐れる」等など、その書籍には目からウロコの名言ばかり。

■お薦め書籍
『女の勘 男の鈍感』
『女はなぜダメ男にはまるのか?』
『なぜ男と女は4年で嫌になるのか』

【4】ヘレン・フィッシャー

ヘレンフィッシャー教授
(出典:helenfisher.com)
■プロフィール
1945年、米ニューヨーク州生まれ。ニューヨーク大学卒。コロラド大学博士課程修了。ラトガーズ大学教授。人類学者。

■凄いところ
30年以上の長きに渡り、この分野の世界的権威であり続けている恋愛学界の生ける伝説。恋愛中の人の脳内をMRIで調べ、「脳内にPEAという物質が分泌されると、人は恋に落ちたと錯覚する」ということを世界ではじめて発見した人物。同時に「PEAは、同じ人間に対しては4年で分泌されなくなる」という衝撃の研究結果も発表し、世間の度肝を抜く。

豊富な知識を生かした多面的な分析もさることながら、圧巻なのはその研究数とインタビュー数。一人よがりな研究をする学者が多い中、人々の心に焦点をあてた女性らしい研究内容が特徴的。御歳78歳でありながら、少女のような純粋な心を持った女性です。

■お薦め書籍
『運命の人は脳内ホルモンで決まる!』
『愛はなぜ終わるのか?結婚・不倫・離婚の自然史』
『人はなぜ恋に落ちるのか?恋と愛情と性欲の脳科学』

【5】アラン・ピーズ&バーバラ・ピーズ夫妻

アランピーズ・バーバラピーズ夫妻
(出典:peaseinternational.com)
■プロフィール
夫のアランは、ボディランゲージの世界的な権威。妻のバーバラは、コミュニケーション能力(身だしなみ・立ち居振る舞い)等の専門家。代表作『話を聞かない男…』をはじめ、夫婦の共著は55の言語に翻訳、世界100カ国以上で出版され、累計発行部数は3,000万部を超える。現在も世界30カ国以上を飛び回り、セミナーや講演活動をしている。オーストラリアで、子ども6人、孫5人と暮らす。

■凄いところ
この2人の凄いところは、それまで敷居の高かった脳科学(脳の性差)、大脳生理学、社会生物学といった話を中学生でも理解できるレベルまで分かりやすくした点です。専門用語をほとんど使わず、誰にでも経験のある「あるある話」を交えながら、分かりやすく解説しています。恋愛や異性問題の長年の謎が、ウソのように氷解していきます。

『話を聞かない男…』の発売当時は、「カップルで読んだら、以前より仲が良くなった」という人達が続出。日本でも社会現象になりました。今後、異性と一言でも会話する可能性のある人は、是非読んでいただきたい一冊です。

■お薦め書籍
『話を聞かない男、地図が読めない女』
『セックスしたがる男、愛を求める女』

【6】デヴィッド・M・バス

デビットMバス
(出典:labs.la.utexas.edu/buss)
■プロフィール
1953年、米インディアナ州生まれ。カリフォルニア大学バークレー校にて博士号取得。現在は、テキサス大学オースティン校の心理学教授。心理学者。

■凄いところ
はじめて世界中(37の文化圏)で大規模な配偶者選択の調査をし、それを発表(女と男のだましあい)した人物。心理学はもちろん、生物学・民族学・自然人類学・動物行動学などにも詳しく、色々な視点から分析しているので文章に説得力もあります。

「魅力的な顔の定義とは?」「恋愛感情はどの瞬間に芽生えるのか?」「嫉妬という感情はなぜ生まれたのか?」など、当時誰も説明できなかったテーマにも次々に挑んでいます。教授でありながら、「どうすれば一夜限りの相手を見つけられるか?」などのナンパな内容も大真面目に語っていて、エンタメ要素も抜群。本の内容は専門用語が多く玄人向けですが、ハマればムチャクチャ面白いです。

■お薦め書籍
『女と男のだましあい―ヒトの性行動の進化』
『一度なら許してしまう女 一度でも許せない男』

【7】チャールズ・ダーウィン

チャールズダーウィン
(出典:en.wikipedia.org)
■プロフィール
1809年~1882年(73歳没)英シュロップシャー州生まれ。ケンブリッジ大学卒。作家。地理学者。生物学者。自然科学者。2002年にBBCが行った「100名の最も偉大な英国人ランキング」で第4位に選ばれる。

■凄いところ
最後はこの人で締めくくる事にしましょう。教科書にも載っていますから、知らない人はいないですよね。「進化論」はあまりにも有名ですが、「性淘汰」を提唱したのも実はダーウィンなのです。性淘汰とは、一言でいえば「よりモテた個体が多くの子孫を残し繁栄する」という理論です。

「派手な羽を持つクジャクは全てオスで、それは自己アピール、つまりモテるためだけに存在している」という当時としては衝撃的な発表もしました。人間に限らず動物界でも、オスは無駄をアピールし、求愛行動しているという事実を公表したのもこの人。恋愛学の根本となる考え方を提唱したのは間違いなくダーウィンです。この人がいなければ、未だに心理学とかが、もてはやされていたかもしれませんね。

■お薦め書籍
種の起原〈上・下〉
ダーウィン著作集人間の進化と性淘汰(1)・(2)